ウメさんとヅカさんのデコボコ珍道中〜旅籠米・収穫篇 稲刈りに行ってきました!

毎年、入荷を心待ちにしていただいているわれらが旅籠米。湯沢ですもの、もちろん魚沼コシヒカリ。中でも最高の産地と誉れ高い塩沢の一画で育った極上品をご提供している。これも、地元のつながりがあるからこそ、なのだ。さてその旅籠米、いったいどんなところで育っているのか?確かめるべく、稲刈りが行われると聞いて田んぼにお邪魔した。出かけたのは、「んまや」のカンバン、ウメさんこと梅沢美香と、アウトドアならまかせろ、田んぼだって俺の庭、のヅカさんこと小野塚敏之。でこぼこコンビの稲刈り体験、さてさて、いかがなことに。

稲刈り

旅籠米のふるさとへ。小さな生き物がいっぱいの、豊かな田んぼでした。


 石打ICより5分、見渡す限り黄金色の田んぼが連なるなか、めざした旅籠米のふるさとは、まるで黄色いじゅうたん。到着すると、宮田正人さんと広美さんの仕事はもう始まっていました。ご夫妻は、雪解け水のおかげで水がとっても豊かなこの場所で、減農薬にこだわった米作りをしています。確かに、田んぼには、カエルやトンボなどの生き物がいっぱい。カエルは稲の害虫を駆除し、来年春の田植えになると卵を産んで、生まれたおたまじゃくしは田んぼの水を浄化してくれます。小さな生き物と稲作は切っても切れない関係。たくさんいる、ということはつまりこの田んぼが薬に負けていない、自然あふれる豊かな場所だってことなのです。

稲刈り

稲刈りの手伝いしました!生産者の姿に感動。

 さあ稲刈り。お手伝いしたかったのですが、きっかけがつかめず…。それほどに二人の連携はスムーズで、無駄がありません。お邪魔?と思いつつも、せっかくなので手にした鎌を稲にザクっと入れました。「あれ?思っていたより力がいる」(ウメ)。宮田さんから「一気にいかないとダメだぞ!」と、声をかけていただくも、なかなか進まず奮闘。「う〜ん。見ていると簡単そうなのに難しい!」と、叫びたくなりました。黄金色の稲穂がぎっしりと実をつけているのを間近に見ながら、稲の香りを感じていると、あれれ、思いはどこか彼方へ。「昔はすべて、手刈り。大変だけど丹精こめて作り上げたお米が目の前で見れる嬉しさって、格別だったんだろうなぁ」なんて、勝手な想像やら思いやら。ふと、横目で宮田さんを見ると、真剣な表情。稲を刈っている時の宮田さんは誰も口出しできないくらいです。最初は怖い人かと思ったほどですが、時折見せる笑顔から、お米を大切に育てるという愛情と、多くの人に美味しいお米を食べてもらいたいという情熱が静かに伝わってきます(ヅカ)。稲一本も無駄にすることなく、コンバインの通れないところまで丁寧に刈っている姿、毎日汗を流したであろう真っ黒な日焼け顔。「うちの米はうまいぞ」の言葉がずっしりきました。

稲刈り

最新技術と生産者の熱意で生まれる、うまい! 旅籠米。

 宮田さんが所有している田んぼの総面積は30,000坪。なんと東京ディズニーランドの敷地とほぼ一緒。この広さにも驚きましたが、機械にはさらにびっくり。最初は田んぼに近づくまで分かりませんでしたが、とにかく大きい!近くによって見てみると「私10人分くらいは楽々ある感じ!?」(ウメ)。高さはあるし、横幅もあるのでとにかく大きいです。しかも6条刈り!つまり6列を同時に刈って籾殻にしていきます。ということは、刈っていくスピードが違うんです。「6条刈りだよ!」って、農家生まれの二人は、驚きもひとしおでした。コンバインは2条刈りから8条刈りまでありますが(さすがに8条はこのあたりでは使用してません)、農家憧れ☆の6条!(ヅカ)であることは間違いありません。聞けば、なんと1台1,300万円もしちゃうそうです(ベンツのSLクラス買えます)。しかも宮田さんは2台所有!それでも消耗品なので数年で買い替えになるそうですが、ほかにも「もみすり機」や「乾燥機」などの機械も合わせると採算が合わないのでは…。不安になりつつ、これも宮田夫妻のおいしさへのこだわりと納得しました。なにせ、刈り取られたお米は、水分量などがコンピュータ管理され一番美味しい状態になります。「自然乾燥よりうまいよ」とは宮田のおばあちゃん。やはり最新技術を搭載した機械は違いますね。米は、良い水と良い土、良い日照と条件がそろえば、ある程度は作れるかと思いますが、そこに生産者の熱意が加わってこそ、美味い米ができる。それを実感しました。

稲刈り

伝えたい、広めたい。一人でも多くの人にこの味を。

 あれだけの広い田んぼで、すべてにこだわり、年間八百俵の生産量を確保できるのは並大抵のことではないはありません。ウメ、ヅカ、ともに農家生まれだからわかります。そして二人は確信しました。「旅籠米はそこらの魚沼産コシヒカリと一緒にされては困る」。春の雪解けの頃、ビニールハウスで苗を育て始め、田おこし、しろかき、田植え、その後は、水の管理(稲の成長に合わせ、抜いたり入れたりします)、そして草取り。草をほったらかしにしていると大変です。稲よりいい栄養素を持っていくんですから。稲の高さより成長しちゃう草もあるんですから。それをすべて管理するのは、とてつもなく重労働。ひとつひとつの田んぼを見ながら中へ入り、草を取る。強い農薬を使えば、草の心配なんてほとんどありません。害虫も出ません。が、味は確実に落ちます。身体への心配もあります。宮田家の田んぼは、完全無農薬米(農薬を3年以上使用していない田んぼ)とは、言い切れませんが、最低限の農薬なので、人の手がとても必要なんです。機械で簡単にっていうわけにはいきません。収穫するまでのこの手間が、旅籠米のおいしさにつながっているのではないのでしょうか。
 小さい頃から祖父や祖母、父、母の農作業を間近に見てきたウメさんは語ります。「うちの田んぼは、宮田さんの田んぼとは比べ物にならない広さだけど、それでも、管理はとても大変です。田植えの時期により、稲刈りの時期も決まるし、ここぞ、というタイミングに刈らないと、甘みもなければ、コシヒカリならではの粘り気もない。早すぎても、遅すぎてもダメ。絶妙なタイミングなんですよねぇ。だから、最近は、田んぼを自分たちでやる!っていう家庭が減ってきてます。農薬を使う、知人にお願いする。何だか、とても切なくなってしまいます。だから宮田家は、貴重な生産者でもあるんです。しかも、ここまで、徹底しているんです。『そんじゃそこらの魚沼産こしひかりとは、違うんです』って、強く言いたいです」。
 二人はひとつ、宿題を持ち帰ってきました。水のことです。宮田さん夫妻の田んぼは、水を、湯沢町と南魚沼市のちょうど中間あたりの魚野川から引いています。ということは、HATAGO井仙のある湯沢町が川を汚したらおいしいお米が食べられなくなってしまう。これはプレッシャーです。でも、私たちの日々が、あの田んぼに、お米につながっていることを知ったからには、これからの気持ちが変わります。いつまでもおいしい旅籠米のために、私たちもできることをひとつずつ、重ねていきます!!

稲刈り稲刈り

旅籠米コラム その1

豊作のサイン稲麹。実はお酒はココから生まれた!?

今年のお米は花が咲く時期に雨が続いてしまい、「稲麹(いねこうじ)」という稲の穂に黒い玉がついた病気が発生していると聞きました。これは、減農薬にこだわっていれば仕方のないこと。でも「稲麹」は昔から豊作の印とも言われている通り、お米には何の問題もなく、事実、出来はバッチリです。さて、この「稲麹」、調べたら面白い事が分かりました!「稲麹」にはカビが棲息しているのですが、何とそのカビの中に皆さん良くご存知の酒造りに使われている麹カビ(麹菌)が含まれています。稲麹のついた稲が水に浸って発酵して偶然できたものが日本酒の原点とも言われていますが(スゴイですよね。日本酒は偶然の産物です)、実際にこの稲麹を用いて麹をつくっていた記録もあるようです。日本酒の原点が既に田んぼで稲と共存しているとは、まったく知りませんでした。(ヅカ)
*汚染米事件のカビとは根本的に違いますので、その点はご安心くださいませ

コラム
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